研究内容
物体把持のメカニズムについての研究テーマ
VR環境での実験
把持運動(物体を掴んで持ち上げる動作)を行う際,様々な視覚的情報(ex. 材質、サイズ)から物体の重さを知覚・学習をします。
本研究では、材質やサイズなどの視覚情報ではなく、VR環境を用いて、物体が持ち上がるタイミングを遅延及び先行させるといった“非現実的”な条件下での錯覚に関して、経頭蓋磁気刺激法(TMS)等を用いた神経生理学的なアプローチすることにより、錯覚時の脳活動の調査を行っています。
触力覚ロボットと3Dモニタを用いたバーチャル環境を用いることで、実環境では再現の難しい実験を行うことができ、そこから得られる新たな知見から運動制御の解明を目指しています。
実環境での実験
本研究は、実環境での把持運動課題における運動制御メカニズムの解明を目的としています。本研究システムは、モータ制御により同一物体で異なる質量を提示することができます。このシステムを用いることで物体の質量を突然または徐々に、そして重くまたは軽く変化させるといった操作が自在に行えます。運動制御メカニズムの解明はリハビリテーションや医療機器の設計に応用することができます。
感覚・運動制御に関する研究テーマ
能動・受動的運動制御に関する研究
ヒトは日常生活において様々な手の運動を行っています。この運動は、自らの意思で力を制御する能動的運動制御、受けた力に反発した筋出力を行う受動的力制御などに分類することができます。
本研究では能動・受動的運動制御における運動調節の特性や、運動調節時の脳活動を確認することにより運動のメカニズムを調査しています。これらを調査することによって、最終的には効率の良いリハビリ手法の提案を行うことができると考えています。
感覚の減衰に関する研究
私達は潜在的に、外部の環境の変化によって引き起こされる感覚と自分自身の行動によって起こる感覚とを区別することができます。これは自分自身の行動によって起こる感覚には「感覚の減衰」という働きが生じているためです。この働きにより自分自身の行動の感覚の認識が減らされ、外部から引き起こされる感覚を際立たせます。この際立った感覚を自分以外から引き起こされたものとすることで、自身と外部との区別を行うことができます。
運動学習、予測、疲労に関する研究テーマ
筋疲労に関する研究
本研究では、随意収縮中の経頭蓋磁気刺激が筋パフォーマンスにどのような影響を与えるか調査することを目的としています。経頭蓋磁気刺激は脳の運動領域に当てることで狙った筋肉に刺激を行うことができます。また実験システムで発揮筋力や筋電図を測定・解析を行い、疲労の度合いを判断します。この2つを用いて研究を行っています。この研究は、新たなリハビリテーションの手法につながる手がかりとなる可能性があります。
VR環境を用いた運動学習に関する研究
仮想環境を用いた他者の行動理解に関連する脳内メカニズムの研究を行っています。世の中にはコミュニケーションに難のある自閉症スペクトラムの方々がいらっしゃいます。こうした方々は、相手の行動を理解することが難しいと言われており、脳機能との関連が示唆されています。私は、この研究を行うことで、自閉症スペクトラムの方々に対する診断・リハビリ・治療等に貢献できると考えています。
生体計測に関する研究テーマ
視線計測
本研究室ではLabVIEWとIDSカメラで構成された視線計測器を用いて、視線を測定することが可能です。サンプリング周波数200Hzで測定ができるため、サッケードやさらに細かな眼球運動であるマイクロサッケードの測定もできます。市販の視線計測器の注視誤差は0.25°~1.0°ですが、本システムを用いた8人分の平均注視誤差は0.5°であり、高い精度で測定できます。
経頭蓋磁気刺激法
経頭蓋磁気刺激(TMS)によって導出される運動誘発電位(MEP)は、大脳皮質運動野内で複数のシナプスを介して錐体路細胞を脱分極させた結果として生じた電位が脊髄運動細胞に到達し、単シナプス性にそれらの細胞を脱分極させた結果として誘発された筋収縮の程度を筋電位の変化として記録したものです。そのため、MEPの変化は、間接的に大脳皮質運動や細胞の興奮性の変化を反映した指標として考えられています。
Double TMSの抑制の概要
本研究の実験では経頭蓋磁気刺激法(TMS)を行っています。Double TMSは2つの刺激を様々な刺激間隔で与えることで脳の興奮性と抑制性の制御機構を調べることができ、単発刺激と比べて長く大きい効果を与えることが可能となります。
ワイヤレス計測と動画解析
研究室では、ワイヤレス筋電計測機を用いて、筋電計測を行うことができます。また、カメラ3台を同時に操作し、立体的に動画撮影をすることが可能です。これらを用い、効率のよい運動パフォーマンスを研究することや、運動メカニズムの解析を行うことが可能です。
Presentationについて
PresentationとはNeurobehavioral社の刺激提示用ソフトウェアで、実験用の画像や音を含む刺激が簡単なインタプリンタ言語を使って作成できる他、fMRIやTMSなどの外部装置との同期を取るためのパルス受信機能を持ち、精密な時間管理が可能です。ERP(事象関連電位)やMEG(脳磁図)、心理実験にも使用されるように、幅広い用途に柔軟に対応することができます。
bmpの連続提示でアニメーションを作成することも可能で、錯視の視覚刺激を簡単に作成することが可能です。運動誘発盲という錯視で、中央を注視していると黄色のドットが見えなくなります。(黄色のドットは常に表示されている)
VRを用いたリハビリテーション研究テーマ
準備中