仮想コンピュータを用いたサーバのセットアップ †仮想環境を実現する代表的なソフトウェアの1つであるOracle VM VirtualBoxを用いて,サーバとして利用できる仮想コンピュータを構築する. 本実験では,Ubuntu Server 16.04 LTSをゲストOSとしてインストールし,Webサーバの機能を持つサーバを構築する. 実験は,電算機演習室のPCでWindowsを起動して行う. 仮想化ソフトであるOracle VM VirtualBoxの操作やLinuxのコマンドなどでわからない事は,Oracle社のHPにあるマニュアルを探して調べたり,インターネットで検索しながら実験を進めること. 注意事項 †実験は,電算機演習室の左側3列に配置されているコンピュータの番号が,st001〜st007, st017〜st023, st033〜st039, st048〜st054, st064〜st070のものを使用すること. 準備するもの(希望者のみ) †3GB以上の空き容量のあるUSBメモリ (実験で作成した仮想環境のデータは,Windowsを終了すると,全て消えてしまうため,バックアップを取りたい場合には準備すること) 実験内容 †
実験手順および課題 †1. 仮想コンピュータの作成 †[実験1] 仮想コンピュータを作成しなさい.
#ref(): File not found: "ICON2.png" at page "CAOS-04_2020" デスクトップにある「Oracle VM VirtualBox」のアイコンをクリックして起動する.
上記の注意事項を守らなかった場合,仮想コンピュータは作成されるものの, この後の実験を進めることができないため,やり直しとなる. Oracle VM VirtualBoxのウィンドウの左上に"UbuntuServer"が表示されたら実験1は終了である. [課題1] 仮想コンピュータを作成する際に,ウィザードに指示を求められる.その際, - 指示を求められた内容とどのように項目を設定したか - 画面のキャプチャ([Alt]キーを押しながら[Print Screen]キー)または,撮影した映像 をレポートに記せ. 2. Linuxのインストール †[実験2] 実験1で作成した仮想コンピュータに,ゲストOSとしてLinux(Ubuntu)をインストールしなさい. 「起動」をクリックするとインストーラが起動する. ただし,必ず,以下の8点の注意に従うこと. また,下記の[課題2]に目を通し,適宜記録を行いながら実験を進めること.
上記の注意事項を守らなかった場合,Linuxは正常にインストールされるものの, この後の実験を進めることができなくなるためやり直しとなる. 再起動を行うよう指示を受けた時点で,実験2は終了である. [課題2] インストールを行う間,何度かインストーラに指示を求められる.その際, - 指示を求められた内容とどのように項目を設定したか - 画面のキャプチャ([Alt]キーを押しながら[Print Screen]キーを押す)または,撮影した映像 をレポートに記せ. ログイン画面が表示されたら,login: プロンプトの後ろにユーザ名「exp3」を入力し,先ほど設定したパスワードを入力する. 3. ソフトウェアのインストールおよび設定 †
$ LANG=C bash [実験3.1] 管理者としてコマンドを実行するsudoコマンドを使用して,8つのパッケージ(build-essential, make, wget, libpcre3, libpcre3-dev libexpat1-dev nmap w3m)をaptコマンドでインストールしなさい. $ sudo apt install build-essential make wget libpcre3 libpcre3-dev libexpat1-dev nmap w3m [課題3.1] ホストOSであるWindowsのIPアドレスを調べ,仮想コンピュータにインストールしたゲストOSであるLinuxが,ホストOSとネットワーク接続できるかをpingを使用して確認しなさい. また,接続先として,学科のWebサーバであるinf(inf.ibe.kagoshima-u.ac.jp,163.209.132.2)に対しても接続テストを行いなさい. さらに、テキストベースのWebブラウザである w3m を使用して、http://www.eng.kagoshima-u.ac.jp/english/ にアクセスできることを確認しなさい. 最後に、「nmap localhost」で、ゲストOSのポートをスキャンし、その状態を確認しなさい. [課題3.2] /tmpディレクトリに移動し,Webサーバソフトapacheを,ソースコードからインストールしなさい. 1. apache2.4ではAPR(Apache Portable Runtime)のインストールが必要である.wgetコマンドで,apr, apr-util のソースコードをミラーサイトからダウンロードする. $ wget http://ftp.jaist.ac.jp/pub/apache/apr/apr-1.6.5.tar.bz2 $ wget http://ftp.jaist.ac.jp/pub/apache/apr/apr-util-1.6.1.tar.bz2 2. 同様に,apache のソースコードもダウンロードする. $ wget http://ftp.jaist.ac.jp/pub/apache/httpd/httpd-2.4.38.tar.bz2 3. ls コマンドで,3つのファイルがダウンロードされていることを確認する. 4. 取得したファイルが正規のものであることを確認する. $ wget http://www.apache.org/dist/httpd/httpd-2.4.38.tar.bz2.sha256 $ cat httpd-2.4.38.tar.bz2 | openssl sha256 $ cat httpd-2.4.38.tar.bz2.sha256 5. 同様に,apr と apr-util についても改竄されていないかを確認する.
URL: http://www.apache.org/dist/apr/apr-1.6.5.tar.bz2.sha256 URL: http://www.apache.org/dist/apr/apr-util-1.6.1.tar.bz2.sha256 6. tarコマンドで,圧縮されたファイルhttpd-2.4.38.tar.bz2を展開する. $ tar jxvf httpd-2.4.38.tar.bz2 7. 同様に,apr-1.6.5.tar.bz2, apr-util-1.6.1.tar.bz2も展開する. 8. lsコマンドで,apr-1.6.5 と apr-util-1.6.1の2つのフォルダが存在することを確認した後,フォルダ名をそれぞれ apr と apr-util に変更して httpd-2.4.38/srclib/に保存する. $ mv apr-1.6.5 httpd-2.4.38/srclib/apr $ mv apr-util-1.6.1 httpd-2.4.38/srclib/apr-util 9. cdコマンドで,httpd-2.4.38 へ移動する. 10. configureコマンドを実行し,Makefileの作成を行う. 11. makeコマンドを実行し,apache(httpd)のコンパイルを行う. 12. sudoコマンドを使用し管理者権限で make installコマンドを実行し,apacheをインストールする. 13. エディタ(vi)を用いて,設定ファイル(/usr/local/apache2/conf/httpd.conf)を管理者権限で編集する.設定すべき箇所は下記の通り. [httpd.confの設定変更箇所の例] LoadModule userdir_module modules/mod_userdir.so の先頭の#を削除 ServerAdmin sc******@ibe.kagoshima-u.ac.jp(実験者のメールアドレス) ServerName sv-**.ibe.kagoshima-u.ac.jp Include conf/extra/httpd-userdir.conf の先頭の#を削除 14. apacheをサービスとして起動する.一般的にはserviceコマンドを用いるが,本実験ではソースコードからインストールを行ったため,apachectlコマンドを用いる. $ sudo /usr/local/apache2/bin/apachectl start 15. w3m で localhost にアクセスして, apacheが起動していることを確認する. [実験3.2] ポートフォワーディングの設定して,ホストOSからゲストOS上で稼働するWebサーバにアクセスできるように設定する. 1. 仮想コンピュータのネットワーク設定にあるポートフォワーディングを設定する. #ref(): File not found: "VM401.png" at page "CAOS-04_2020"
#ref(): File not found: "VM301.png" at page "CAOS-04_2020"
[実験3.3] ファイアウォール(ufw)を有効にして、外部からのすべてのネットワーク接続を遮断する. 1. /etc/default/ufw で、IPV6によるすべての通信を遮断する設定を行う. $ sudo vi /etc/default/ufw IPV6=yes を IPV6=no に修正する. 2. ファイアウォールの状態を確認する. $ sudo ufw status 3. ファイアウォールのサービスを開始する. $ sudo ufw enable 4. すべての通信を遮断する設定を行う. $ sudo ufw default DENY 5. ホストOSであるWindowsから,課題3.2で設定したWebサーバにアクセスできるかどうかを確認する. [課題3.3] ファイアウォール(ufw)の設定を行い,サーバへのhttp通信を許可しなさい.アクセスの許可は,「allow」コマンドを使用する.http通信はTCP 80番ポートが使われるため,外部からサーバのTCP 80番への通信を許可すればよい. 上記の設定は,コマンド「sudo ufw reload」を打つことで,設定内容を反映できる. Webサーバにアクセスできない場合は,教員やTAと相談して原因を特定しなさい. [課題3.4] 仮想コンピュータのネットワーク接続形態にはどのようなものがあるか,また,それぞれの接続形態の特長を調べてレポートに書きなさい.
4. サーバの運用(応用課題) †[実験4] 仮想コンピュータのIPアドレスを固定IPアドレスに変更し,ポートフォワーディングの設定して,電算機演習室のネットワーク(10.200.30.0)の他のコンピュータからWebサーバがアクセスできるように設定しなさい. 1. ゲストOSのネットワーク設定をdhcpによる動的IPアドレスから固定IPアドレスに変更する.
$ sudo vi /etc/network/interfaces iface enp0s3 inet dhcp を iface enp0s3 inet static に修正する. その後に、固定IPアドレス(address),ネットマスク,ゲートウェイ,DNSサーバの情報を追加する. 2. ネットワークサービスの再起動 $ sudo service networking restart 3. 仮想コンピュータのネットワーク設定にあるポートフォワーディングを設定する.
#ref(): File not found: "VM402.png" at page "CAOS-04_2020" 4. 仮想コンピュータを再起動し, apacheをサービスを起動する. $ sudo /usr/local/apache2/bin/apachectl start 5. 他のPCから設定したapacheサーバに接続できるか確認する.他のPCから閲覧する際は,ホストOSのIPアドレスを指定する. 接続できない場合には,apacheサーバが起動しているか確認すること. [課題4.1] 「exp3」ユーザのWebページを作成し,ホストOSから閲覧できることを確認せよ.作成するWebページは,下記のような非常に単純なものでよい. ユーザのWebページは,「/home/***(ユーザ名)/public_html/」ディレクトリに,index.htmlという名前で作成する.ホストOSから閲覧する際は,「http://10.200.30.1xx/~***(ユーザ名)」と入力する. 例: <html> <head><title>Test</title></head> <body> This is a test Web page to check if our server works. </body> </html> 作成したWebページを閲覧できない場合は,各ユーザのディレクトリ(/home/***(ユーザ名))および各ユーザのpublic_htmlディレクトリのパーミッションを確認すること.ファイルおよびディレクトリの所有者だけでなく,全てのユーザに読み込み,実行の権限が与えられる必要がある. [課題4.2] 設定が終わったら,他のコンピュータから作成したWebページにアクセスできるか確認しなさい. |