CAOS-04-H29

仮想コンピュータを用いたサーバのセットアップ

仮想環境を実現する代表的なソフトウェアの1つであるOracle VM VirtualBoxを用いて,サーバとして利用できる仮想コンピュータを構築する.

本実験では,Ubuntu Server 16.04 LTSをゲストOSとしてインストールし,Webサーバの機能を持つサーバを構築する.

実験は,電算機演習室のPCでWindowsを起動して行う.

仮想化ソフトであるOracle VM VirtualBoxの操作やLinuxのコマンドなどでわからない事は,Oracle社のHPにあるマニュアルを探して調べたり,インターネットで検索しながら実験を進めること.

注意事項

実験は,電算機演習室の左側3列に配置されているコンピュータの番号が,st001〜st007, st017〜st023, st033〜st039, st048〜st054, st064〜st070のものを使用すること.

ここをクリックしてコンピュータ番号を確認して使用すること.

準備するもの(希望者のみ)

4GB以上の空き容量のあるUSBメモリ

(実験で作成した仮想環境のデータは,Windowsを終了すると,全て消えてしまうため,バックアップを取りたい場合には準備すること)

実験内容

1. 仮想コンピュータの作成仮想マシンの格納場所の設定
ゲストOSの設定
ディスク容量の指定と仮想ディスクのファイル設定
ハードウェア(CD)のカスタマイズ
2. Linuxのインストールパーティションの設定
ネットワークの設定
各種サービス名の調査
3. ソフトウェアのインストールaptを用いた開発環境等(gcc他)のインストール
apacheソースコードの取得
apacheのコンパイル
(selinuxの停止)
ufwによるファイアウォールの設定
4. サーバの運用ネットワーク接続形態の変更

実験手順および課題

1. 仮想コンピュータの作成

[実験1] 仮想コンピュータを作成しなさい.

  • CドライブにVMフォルダを作成する(C:¥VM).

#ref(): File not found: "ICON2.png" at page "CAOS-04-H29"

デスクトップにある「Oracle VM VirtualBox」のアイコンをクリックして起動する.

  • 「ファイル」-「環境設定」から「デフォルトの仮想マシンフォルダー」を「C:¥VM」と設定する. &ref(): File not found: "VB101.png" at page "CAOS-04-H29";
  • 「新規」を選択して,新しい仮想マシンウィザードを起動する.
  • 必ず,以下の2点の注意に従うこと.設定に不安がある場合は,設定内容を変更後,確定する前に,教員やTAに確認してもらうこと.
  • また,下記の[課題1]に目を通し,適宜記録を行いながら実験を進めること.
注意1: 「名前とオペレーティングシステム」
「名前」に「UbuntuServer」と入力する.
タイプは「Linux」,バージョンは,「Ubuntu(64-bit)」が選択されていることを確認すること.

#ref(): File not found: "VB102.png" at page "CAOS-04-H29"

注意2:「インストール用メディア」
「設定」アイコンをクリックする.
左側のメニューから「ストレージ」を選択する.

ストレージツリーの中から空のCDアイコンをクリックする.
光学ドライブのCDアイコンをクリックして,「仮想光学ディスクファイルを選択」をクリックする.
「仮想光学ディスクファイル」として「¥¥nas01¥share_ro¥exp3¥ubuntu-16.04.2-server-amd64.iso」を選択すること.

#ref(): File not found: "VB103.png" at page "CAOS-04-H29"

上記の注意事項を守らなかった場合,仮想コンピュータは作成されるものの, この後の実験を進めることができないため,やり直しとなる.

Oracle VM VirtualBoxのウィンドウの左上に"UbuntuServer"が表示されたら実験1は終了である.&ref(): File not found: "VB104.png" at page "CAOS-04-H29";

[課題1] 仮想コンピュータを作成する際に,ウィザードに指示を求められる.その際,

- 指示を求められた内容とどのように項目を設定したか
- 画面のキャプチャ([Alt]キーを押しながら[Print Screen]キー)または,撮影した映像

をレポートに記せ.

2. Linuxのインストール

[実験2] 実験1で作成した仮想コンピュータに,ゲストOSとしてLinux(Ubuntu)をインストールしなさい.

「起動」をクリックするとインストーラが起動する.

ただし,必ず,以下の8点の注意に従うこと.

また,下記の[課題2]に目を通し,適宜記録を行いながら実験を進めること.

注意1: 「ネットワークの設定」
ホスト名は,「sv-**」のように設定すること.「**」の部分は,使用しているコンピュータの番号とし,コンピュータ番号がst021の場合は,「sv-21」と設定する.

#ref(): File not found: "VB201.png" at page "CAOS-04-H29"

注意2: 「ユーザとパスワードのセットアップ」
新しいユーザの本名として,「exp3」を入力すること.
ユーザ名は「exp3」,パスワード(8文字以上推奨)は「inf0bi03」とすること.

ホームディレクトリの暗号化については,「いいえ」であることを確認すること.

#ref(): File not found: "VB202.png" at page "CAOS-04-H29"

注意3: 「時間の設定」
Time zoneは,「Asia/Tokyo」であることを確認すること.

#ref(): File not found: "VB203.png" at page "CAOS-04-H29"

注意4: 「ディスクのパーティショニング」
パーティショニングの方法は,上から2番目の「ガイド - ディスク全体を使いLVMをセットアップする」が選択されていることを確認すること.
「ガイドによるパーティショニングを利用するボリューム」は「8.1GB」のままでかまわない.

#ref(): File not found: "VB204.png" at page "CAOS-04-H29"

注意5: 「パッケージマネージャの設定」
「HTTPプロキシ」は使用しない.

#ref(): File not found: "VB205.png" at page "CAOS-04-H29"

注意6: 「taskselを設定しています」
システムのアップグレードは「自動的にアップデートしない」を選択する.

#ref(): File not found: "VB206.png" at page "CAOS-04-H29"

注意7: 「ソフトウェアの選択」
インストールするソフトウェアの選択では「standard system utilities」を選択する.

#ref(): File not found: "VB207.png" at page "CAOS-04-H29"

注意8: 「ハードディスクへのGRUBブートローダのインストール」
マスターブートレコードにGRUBブートローダをインストールすること.

#ref(): File not found: "VB208.png" at page "CAOS-04-H29"

上記の注意事項を守らなかった場合,Linuxは正常にインストールされるものの, この後の実験を進めることができなくなるためやり直しとなる.

再起動を行うよう指示を受けた時点で,実験2は終了である.

[課題2] インストールを行う間,何度かインストーラに指示を求められる.その際,

- 指示を求められた内容とどのように項目を設定したか
- 画面のキャプチャ([Alt]キーを押しながら[Print Screen]キーを押す)または,撮影した映像

をレポートに記せ.

ログイン画面が表示されたら,login: プロンプトの後ろにユーザ名「exp3」を入力し,先ほど設定したパスワードを入力する.

3. ソフトウェアのインストールおよび設定

[課題3.1] ホストOSであるWindowsのIPアドレスを調べ,仮想コンピュータにインストールしたゲストOSであるLinuxが,ホストOSとネットワーク接続できるかを確認しなさい.

また,接続先として,学科のWebサーバであるinf(inf.ibe.kagoshima-u.ac.jp,163.209.132.2)や,学外のサーバ(任意のサーバ)に対しても接続テストを行いなさい.

[実験3.1] パッケージ管理ソフトyumを用いて,C/C++言語のコンパイラであるgccをインストールしなさい. # yum -y install gcc


[実験3.1] 管理者としてコマンドを実行するsudoコマンドを使用して,5つのパッケージ(build-essential, make, wget, libpcre3, libpcre3-dev)をaptコマンドでインストールしなさい.

# sudo apt install build-essential make wget libpcre3 libpcre3-dev

[課題3.2] /tmpディレクトリに移動し,Webサーバソフトapacheを,ソースコードからインストールしなさい.

1. apache2.4ではAPR(Apache Portable Runtime)のインストールが必要である.wgetコマンドで,apr, apr-util のソースコードをミラーサイトからダウンロードする.

# wget http://ftp.jaist.ac.jp/pub/apache/apr/apr-1.5.2.tar.bz2
# wget http://ftp.jaist.ac.jp/pub/apache/apr/apr-util-1.5.4.tar.bz2

2. 同様に,apache のソースコードもダウンロードする.

# wget http://ftp.jaist.ac.jp/pub/apache/httpd/httpd-2.4.25.tar.bz2

3. ls コマンドで,3つのファイルがダウンロードされていることを確認する.

4. 取得したファイルが正規のものであることを確認する.
 ダウンロードファイルの配布元 http://www.apache.org/ から, sha1ファイルをダウンロードし,ファイルが改竄されていないかをコマンド ”cat 検査対象ファイル名 | openssl sha1” で表示されるものと,ダウンロードした”検査対象ファイル名.sha1” のファイル内の文字列が一致するかで確認する.

# wget http://www.apache.org/dist/httpd/httpd-2.4.25.tar.bz2.sha1
# cat httpd-2.4.25.tar.bz2 | openssl sha1
# cat httpd-2.4.25.tar.bz2.sha1

5. 同様に,apr と apr-util についても改竄されていないかを確認する.

6. tarコマンドで,圧縮されたファイルhttpd-2.4.25.tar.bz2を展開する.

# tar jxvf httpd-2.4.25.tar.bz2

7. 同様に,apr-1.5.2.tar.bz2, apr-util-1.5.4.tar.bz2も展開する.

8. lsコマンドで,apr-1.5.2 と apr-util-1.5.4の2つのフォルダが存在することを確認した後,フォルダ名をそれぞれ apr と apr-util に変更して httpd-2.4.25/srclib/に保存する.

# mv apr-1.5.2 httpd-2.4.25/srclib/apr
# mv apr-util-1.5.4 httpd-2.4.25/srclib/apr-util

9. cdコマンドで,httpd-2.4.25 へ移動する.

10. configureコマンド,makeコマンドを用いて,apacheをコンパイルする.
 configureコマンドでは、APRを有効にするため --with-included-apr オプションを付与する.

11. 管理者権限で make installコマンドを実行し,apacheをインストールする.

12. エディタ(vi)を用いて,設定ファイル(/usr/local/apache2/conf/httpd.conf)を編集する.設定すべき箇所は下記の通り. [httpd.confの設定変更箇所の例] ServerName? sv-**.ibe.kagoshima-u.ac.jp ServerAdmin? sc******@ibe.kagoshima-u.ac.jp(実験者のメールアドレス) Include conf/extra/httpd-userdir.conf の先頭の#を削除

14. apacheをサービスとして起動する.一般的にはserviceコマンドを用いるが,本実験ではソースコードからインストールを行ったため,apachectlコマンドを用いる.

# sudo /usr/local/apache2/bin/apachectl start

[課題3.3] ファイアウォール(iptables)の設定を行い,サーバへのhttp通信を許可しなさい.ファイアウォールの設定ファイルは,/etc/sysconfig/iptablesである.http通信はTCP 80番ポートが使われるため,外部からサーバのTCP 80番への通信を許可すればよい.

編集後,「service iptables restart」と打つことで,設定内容を反映できる.

[実験3.2] Webサーバを起動しているゲストOSのIPアドレスを確認して,ホストOSであるWindowsから,課題3.3で設定したWebサーバにアクセスできるかどうかを確認しなさい.

Webサーバにアクセスできない場合は,教員やTAと相談して原因を特定しなさい.

4. サーバの運用

[実験4] 仮想コンピュータのネットワーク接続形態をBridge接続に変更し,電算機演習室のネットワーク(10.200.30.0)の他のコンピュータからWebサーバがアクセスできるように固定IPアドレスを設定しなさい.

1. 仮想コンピュータをシャットダウンして,「仮想コンピュータ設定の編集」からネットワークアダプタの設定をBridge接続に変更する.

#ref(): File not found: "VM401.png" at page "CAOS-04-H29"

2. 仮想コンピュータを起動して,

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0
/etc/resolv.conf

を適切に編集し,ネットワークの設定を下記のように変更する. ただし、どのように編集するかは,「ifcfg-eth0」や「resolv.conf」をキーワードとして各自調べなさい.

ネットワーク設定(ifcfg-eth0):

IPアドレス: 10.200.30.**

上記の"**"は,ここをクリックし,コンピュータの番号に対応したIPアドレス を指定しなさい.

ゲートウェイ: 10.200.30.254
ネットマスク: 255.255.255.0

DNS設定(resolv.conf):

1番目のDNS: 10.200.2.11
2番目のDNS: 10.200.2.12

3. ネットワークの設定を変更したら,

service network restart

でネットワークを再起動した後,他のPCから設定したapacheサーバに接続できるか確認する.

接続できない場合には,apacheサーバが起動しているか確認すること.

[課題4.1] 実験者のユーザアカウントを作成せよ.

[課題4.2] 各ユーザのWebページを作成し,ホストOSから閲覧できることを確認せよ.作成するWebページは,下記のような非常に単純なものでよい.

各ユーザのWebページは,「/home/***(ユーザ名)/public_html/」ディレクトリに,index.htmlという名前で作成する.ホストOSから閲覧する際は,「http://10.200.30.xx/~***(ユーザ名)」と入力する.

例:

<html>
 <head>Test</head>
 <body>
  This is a test Web page to check if our server works.
 </body>
</html>

作成したWebページを閲覧できない場合は,各ユーザのディレクトリ(/home/***(ユーザ名))および各ユーザのpublic_htmlディレクトリのパーミッションを確認すること.ファイルおよびディレクトリの所有者だけでなく,全てのユーザに読み込み,実行の権限が与えられる必要がある.

[課題4.3] 設定が終わったら,他のコンピュータから作成したWebページにアクセスできるか確認しなさい.

[課題4.4] 仮想コンピュータのネットワーク接続形態にはどのようなものがあるか,また,それぞれの接続形態の特長を調べてレポートに書きなさい.


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2024-03-06 (水) 11:42:01 (60d)