電気・電子回路と生体計測
第5回: 眼球運動計測 †
目的 †
眼球運動の測定を通じて、生体計測に必要な知識と経験を身につける。
眼球運動について †
我々は眼を動かして、その時々に必要な外界の光情報を獲得する。
それと同時に、瞳孔の大きさを変化させて入力される光情報量を調整する。
「眼は心の窓」というように、これらの眼球運動を観察することで、その人の思考・認知・精神状態を推測することができる。
そのため、眼球運動計測は心理学的研究に留まらず、運転手の疲労状態の測定(http://i-maker.jp/eye-tracking-6905.html)や、注目されやすい広告表示の検討(http://seren-dipper.com/eye-tracking)と言った、工学的応用場面でも活用される。
また、眼球運動は精密な測定が比較的容易なことから、マウスカーソル(http://gigazine.net/news/20150911-optikey/)やロボット・ドローンのコントロール(https://youtu.be/ZMkAMe4Wj1o)などにも利用されている。
眼球運動測定について †
眼球運動を測定する方法はいくつかあるが、広く普及している方法は、赤外線で眼球を照らし、それをカメラで撮影する方法である。
カメラに入力された眼球画像から、角膜による赤外線の反射位置や瞳孔位置をリアルタイムで画像解析し、被験者が注視している位置を測定する。
同時に、瞳孔径の大きさの変化も測定できる。
実験 †
実験者と被験者 †
- 実験者は、以下の指示に従ってPCや眼球運動測定装置を操作し、実験の実施と結果の分析を行うこと。
被験者は自分勝手に行動しないこと。
実験装置 †
1.赤外線式眼球運動測定装置(ViewPoint? Eye Tracker, Arrington Research, Inc.)
2.17インチ液晶モニタ
PCと眼球運動測定装置のセットアップ †
1.ノートPCに外部モニタとUSB赤外線カメラが接続されていることを確認する。
2.デスクトップ画面から「ViewPoint?-USB-400HZ」をクリックし、「ViewPoint? EyeTracker? USB-400」を起動する。
3.マルチディスプレイ設定
- 「Stimuli」タブ > 「Stimulus Window Properties」 > 「Full Screen Monitor 2」に変更
刺激画像の設定 †
1.画像ファイルの読み込み
- 「File」タブ > 「Setting」 > 「Load Setting」 > 「Examples」フォルダ > 「PictureLists?」フォルダ > 「PictureList_ExpIII」を選択
2.画像ファイル順序のランダム化
- 「File」タブ > 「Images」 > 「PictureList?」 > 「Randomize PicureList?」を選択
3.注視点マーカーの削除
- 「Controls」ウィンドウ > 「Display」タブ > 「Stim」列の「Gaze Point」のチェックを外す
赤外線カメラの調整 †
1.「Control」ウィンドウ > 「EyeA」タブ > 「Video」内
2.瞳孔位置だけを利用した測定モードに設定
- 「Control」ウィンドウ > 「EyeA」タブ > 「Feature」 > 「Pupil Location」に変更
3.被験者の準備
- これ以降できるだけ頭を動かさないよう、被験者に教示する
しゃべると頭が動くので、ハンドサインを使う
4.カメラのキャップを外す
5.被験者の右眼の右斜め下45˚、距離5~10cm程度の位置にカメラを設置(赤外線照射装置(LED)が鼻側)
- 「EyeCamera?」ウィンドウを見ながらカメラのピントを調整し、瞳孔(Pupil)を表す黄色円が安定して表示されるようにする
- 画面の四隅を見たとき、黄色円が楕円にならないことと消えないことを確認
- レンズを直接触らないように注意すること。また、カメラに衝撃を与えないように注意すること。
眼球画像と注視点の位置合わせ(校正・キャリブレーション) †
1.キャリブレーションポイントの設定
- 「EyeSpace?」ウィンドウ > 「Data」のポイント数を「16」に変更
2.被験者の準備ができたら「Auto-Calibrate」を選択 > キャリブレーションが自動実行される
- ずれた点があれば、それを「Data」から選択 > 「Re-present」を選択
16点のキャリブレーションが困難であれば、ポイント数を徐々に減らしても良い(最小9点)。但し精度は低下する。
眼球運動の計測 †
1.画像の表示
- 「File」タブ > 「Images」 > 「PictureList?」 > 「Next PictureList? Image」を選択
2. 頭のズレの補正
- 「EyeSpace?」ウィンドウ >「Slip-Correction」を押す
3.記録の開始
- 「Control」ウィンドウ > 「Record」タブ > 「NewRecording?」を選択
4.画像の全画面表示
5. 被験者は自由に観察
6.画像の削除
7.記録の停止
- 「Control」ウィンドウ > 「Record」タブ > 「Close」を選択
8.カメラにキャップをつける
9.被験者をアゴ台から開放する
眼球運動の分析 †
1.画像ファイルの保存
- デスクトップの「Misc」フォルダから、被験者が観察した画像ファイルをUSBメモリにコピー
2.データファイルの保存
- デスクトップの「Data」フォルダから、被験者のデータファイルをUSBメモリにコピー
3.データを全て選択して、Excelにコピー
4.ノイズデータの削除
5.データの変換
- データ座標は(0,0)が左上、(1,1)が右下だが、グラフ座標では(0,0)が左下、(1,1)が右上のため、データの変換を行う
- 「X_CorrectedGaze?列(補正済X座標:F列)」をO列、1-「Y_CorrectedGaze?列(補正済Y座標:G列)」をP列に作成
6.グラフの作成
- O列とP列のデータを使用して、散布図(直線とマーカー)を作成
- 「プロットエリア」 > 「書式設定」 > 「塗りつぶし(図またはテクスチャ)> ファイル」 > 被験者が観察した画像ファイルを選択
- グラフサイズを変更して正しい画像のサイズに調整するなど、見やすいグラフを作成
7.データやグラフを作成したExcelファイルをUSBメモリに保存
結果の発表 †
作成したグラフをスライドに映して、眼球運動の特徴と、そこから分かったことや考えられることを発表する。また、質問を受け付けてそれに答える。
レポート †
- コピペはもちろん、語尾や単語の変更、文章の順序の入れ替え等の編集行為も全て厳禁。判明した場合は0点とする。
提出後は採点結果とコメントを確認すること。期限を付けて再提出を求める場合がある。
目的 †
- 眼球運動を測定することで何が知りたいのかについて記述する。
方法 †
第三者が同じ実験を実施できるように記述すること。
結果 †
- 自分が実験者として実施した実験の眼球運動測定グラフを記載する。
自分が被験者の時のデータを使用しないこと。
眼球運動の考察 †
- 発表や質疑応答の内容を参考にして、結果から分かることを考察すること。
課題1:サッケード(saccade; 跳躍(急速)眼球運動)について調べよ †
- 参照した文献やwebページは引用文献として下記情報を記載する。
書籍の場合:著者名、書籍名、出版社名、出版年
webページの場合:webページ名、閲覧日時、URL
課題2:眼球運動計測を利用する実験を提案せよ †
- 「目」や「見ること」に関連したことわざ、慣用句、言い回しを一つ挙げる。
- なぜそのような「ことわざ」などができたのかについて、仮説を考える(多少こじつけでも良い)。
- 仮説を検証するためには、どのような眼球運動計測実験をすれば良いか記述する。
- 他人と相談せず、自分一人で考えること。(同じような提案が出た場合は、呼び出して理由を尋ねる)
(例)
慣用句:目が無い
意味:ある物事を非常に好きなこと。「私はラーメンに目が無い」
仮説:人間は好きなものを見ると瞳孔が拡大するので、他人からは目が黒くなり穴が空いたように見える。
つまり、目が無くなったように見える。そのために、物事が好きなことを「目が無い」と言うようになった。
実験方法:被験者の好きな物の画像とそうでない物の画像を交互に見せ、その時の瞳孔径を測定する。
仮説が正しければ、好きなものを見たときのほうが瞳孔径が大きくなると考えられる。
感想 †