担当: 三鴨 道弘 助教
居室: 情生棟 5階


実験4 磁場・インダクタンス

実験は実験室で行います.このページをプリントアウトして持参すること.

3-1.本実験の目的

1) ローレンツ力,磁場(磁界,Magnetic Field)について理解する.

2) 空芯コイルによるインダクタの原理と特性について理解する.

3-2. イントロ:コイルモーターを作ろう

下の動画を見てみよう.

磁場B中の電流Iには,その外積の方向にローレンツ力Fが発生する.

【作り方】
coil
(1) ペンなどを芯にしてエナメル線を巻きつけ,コイルを作る.
(2) エナメル線はその名の通り,エナメルで絶縁されているので
       
電気が通るよう両端を紙やすりでエナメルを削る.


clip
(3) クリップを図のように曲げてコイ ルを乗せる台を作ります. 







motor
(4) クリップの台を電池の両端に ガムテープで貼り付け,
       
フェライト磁石を電池の上に乗せる。
(5) コイルをクリップの台に乗せ,指で軽く回すと・・・







3-3. 空芯コイルの作成

空芯コイルを作ってみよう.
空芯コイル
【作り方】
(1) フィルムケースにほどけないようにテープで止めながらエナメル線を巻いていく.
(2) 50回巻いたら,止める.
(3) エナメル線両端を紙やすりで削る.
(4) コイルの巻き数,直径,長さを測定,記録しておくこと.

空芯コイルの自己インダクタンス(自己誘導係数)を計ってみよう.

Ni Elvisを起動し,DMMDigital Multi Meter)を使用して,空芯コイルの自己インダクタンス[mH]を計測しなさい.
(DMM
のコイルの記号を選択する.接続端子も出てくるのでよく確認して接続すること.)

3-4. 空芯コイルによるインダクタ:RL微分回路

インダクタの電気的特性を図るためのRL直列回路(RL微分回路という)を作成し,その特性を計ってみる.

抵抗は班毎に異なる.

Hi_pass_filter

まず抵抗Rの抵抗値を計る.

Ni ElvisDMMを使用する.

交流を流す.

VinRMS100mV100Hの交流電圧をかけ,そのときのVout.Rms(実効電圧)を記録する.(SCOPEを使う.)
Vin
の周波数を,2005001K5K10k,20K50K70K100Kと変化させ,同様にそのときのVout.Rmsを記録する.

4-5. 考察

このHPだけを読んでも,考察の答えは出てこないので,電磁気学の磁場・電磁誘導について
図書館で参考書やインターネット上で検索し,自分で調べ,理解しなさい.

参考: 岩波書店 物理入門コース 電磁気学T,U 長岡洋介著 
     裳華房 電磁気学 中山正敏著 など.

0) コイルモーターを良く回すコツは何か?良く回すために何を工夫したか?

1) 2つのベクトルaの外積とは何か?定義を述べ,図に示しなさい.

2) 電荷qをもつ粒子が磁場Bの中を速度vで運動しているとき,粒子に働く力(ローレンツ力)Fをq,Bvを用いて表せ.
   またその力の働く方向はどの方向か?図に示しなさい.

3) 閉回路中を貫く磁束が変化すると,その変化を妨げる方向に起電力が発生する.これを電磁誘導と言う.
   コイルに電流を流すとコイルを貫く方向に磁束が発生するが,電流の値を変化させるとその磁束の大きさも変化する.
   磁束が変化すれば電磁誘導によってその電流の変化とは逆向きに起電力が生じることになる.これを自己誘導という.
   自己誘導による逆起電力の大きさVLは,コイルに流れる電流をIとして,
   L・・・@

   となる.電流が増えるときは減らす向きに,減るときには増やす向きにはたらく.係数Lを自己インダクタンスという.
   空芯コイルの自己インダクタンスLは,近似的に(無限長ソレノイドとみなせば),
   L=μ0n2l-1S ・・・A

   となる.μ0は真空の透磁率,nはコイルの巻数,はコイルの長さ,Sはコイルの断面積.
   作成したコイルの巻数,コイルの長さ,コイルの断面積を示し,コイルの自己インダクタンスを計算しなさい.
   また実測したインダクタンスと比較し,誤差率を求めなさい.
   その誤差の原因と適正な範囲であるか,について考察しなさい.

4) RL微分回路の実験で得た入力周波数出力電圧特性を表に示し,かつ両対数グラフ用紙にグラフ化しなさい.
   (両対数グラフ用紙,片対数グラフ用紙は,生協・文房具店等で販売している.
    今後の実験でも使用することがあるので,1冊購入しておくとよい.)

5) グラフから,カットオフ周波数f0(出力が入力より3dBダウンする周波数)を求めなさい.(実測値)
   理論的にはカットオフ周波数は,
   RL で与えられる.実測した抵抗RとインダクタンスLからf0を求めなさい.(理論値)
   理論値と実測値を比較し,その誤差率を求めなさい.
   その誤差の原因と適正な範囲であるか,について考察しなさい.

6) 作成した空芯コイルのフィルムケースの中に砂鉄を充填すると,何がどう変わるか?
   またその原因を述べなさい.
   
7) 3)からコイルに流れる電流をIとするとその両端の電圧VLは@式であった.
   抵抗の両端の電圧はオームの法則によって求められる.回路全体にかけた電圧はVinである.
   これら3つのことをまとめ,回路の微分方程式を立てなさい.
   (解かなくてよい.交流回路の回でやります.もちろん参考書等を見て解き,その結果を確認しておくことは大変有益です.)

8) RL微分回路において入力周波数を高くするほど,VoutVinに近づいた.なぜか?
   3)の@式から説明せよ.

4-6. レポートについて